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AMHに関するあれこれ

AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは?

不妊治療の初めに必ずAMHを測定します。AMHは俗に”卵巣年齢検査”や”卵巣予備能検査”などと言われますが、そもそもAMHを測定すると何が分かるのか?AMHの測定にどのような意義があるのか?・・について考えてみたいと思います。

ヒトの卵胞発育の過程は

原始卵胞→一次卵胞→二次卵胞→前胞状卵胞→胞状卵胞の順に進みます。

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AMHは一次卵胞、二次卵胞、前胞状卵胞、胞状卵胞の顆粒膜細胞で産生されるホルモンです。よって、原始卵胞の数自体は表していません。”原始卵胞から発生した卵胞でつくられるのがAMH”ということになります。原始卵胞は出生後増えることはないとされています。つまり、正確には原始卵胞=残された卵子ということになります。

AMHを測定すると何が分かるか?

AMHは原始卵胞以降の卵胞で作られることから、”これから発育するであろう卵胞数”の目安”ということになります。つまり”卵巣刺激をかけるとどのくらいの卵子が取れる可能性があるのか?”が分かります。原始卵胞は出生後増えることはありませんので、原始卵胞=今現在残された卵子数ということになります。AMHが高い人=前胞状卵胞数が多い人は、一般的には原始卵胞がたくさんある人=残された卵子数が多い人・・・であることがほとんどだとは思います。しかし、AMHはあくまでも原始卵胞以降の卵胞で作られるものであるため、逆にAMHが低い人は、もともと原始卵胞(残された卵子)はあっても、原始卵胞からその周期に発育する卵胞がリクルートされていないというケースも想定されます。AMHを下げる要因としてビタミンD欠乏やピルの長期服用が挙げられます。

AMHは増える・・・こともある

これまで、AMH=残存卵子の指標と考えられて来たために、AMHには変動がなく、むしろ年齢とともに減る一方で増えることはあり得ないとされてきました。実はこの考え方には誤りがあります。前項で述べたように正確にはAMH=これから発育する卵胞数の指標であるため、周期によっての変動があります。(もちろん、年単位という長期間で見ると年齢とともにだんだん減っては行きます)。例えば、ある周期、これからリクルートされる卵胞が少ない場合はAMHは低めに出るかもしれません。ところが、別の周期、これからリクルートされる卵胞が多い場合はAMHは高めに出ます。そのような周期ではチャンスとばかりに卵巣刺激をかけると多くの卵子が取れたりする場合があります。

AMH=卵巣年齢という誤解

不妊治療の初めにAMHを測定して卵巣予備能を評価し(ここまではたぶん間違いではないと思います)、”あなたの卵巣年齢は○○歳です”と運命付けられた日から不安と憂鬱の日々が始まる方がおられます。(逆に年齢に比べてあなたの卵巣は○○歳若いです・・と言われて舞い上がるほど喜ぶ方もいるかもしれません)。しかし先ほどから述べているように、AMHは”その周期にリクルートされるであろう卵胞数の目安”であって、卵巣の年齢を表すものでも何でもありません。(しかし実際の臨床の場では患者様にわかりやすい例え話として”卵巣年齢”という言葉をよく使いますし、私も実際にはそのようにしています)。実際にはAMHを初診時にとってそれっきりということがよくあります。そのような場合は初診時に決定付けられた”卵巣年齢”は、その方が治療を受けるあいだ中ずっとそのままです。AMHは当然周期による変動もあり、また年月に伴う減少もあります。初診時に”卵巣年齢40歳”だった人は”ずっと40歳”ではなく、周期ごとに絶えず変化します。40歳が翌月には35歳ぐらいになっていることもあれば、40歳が半年後に閉経間近になっていることもあります。

結果の正しい解釈と定期的な評価が必要・・だと思います

当院ではよくAMHを測定しています(およそ3ヶ月ぐらいのスパン)。以前は当院でも初診時に1回とってそれっきりだったのですが、AMHについての上記のような知見を読んでから私自身の考えが変わりました。(私自身もこれまではAMHは減りはしても増えはしない、周期による変動が少ない・・というふうに教わってきましたので)。これはどの検査もそうですが、最新の知見に基づいた正しい解釈が必要だろうと思います。また、検査は一度とったらとりっぱなし・・ではなく、定期的に評価をすることも大事だろうと思います。当院では特に、刺激法を変える場合や周期の始まりにAMHを評価しています。(AMHの高い、低いをみて、卵巣刺激に対する反応性を予想したり、OHSSの発生予測をしたり、などなど利用しています)。コストがかかる検査なので、患者様からは”また取るんですか?”と言われることも多々ありますが、上記の事情をご理解いただけたらと思います。

 

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