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不妊治療の可能性を広げた精子凍結技術について

これまでの不可能を可能に(夫婦が分かれて暮らす世帯でも子供を持てる可能性を広げた精子凍結技術について)

sperm and egg cell. microscopic image

近年、生活様式や夫婦共働きによる勤務形態の多様化等により、挙児を希望しても従来型の不妊治療(排卵日に合わせて性交渉を持つ)では対応が難しいケースが増えてきています。具体的には夫の長期海外勤務や共働き夫婦での勤務時間のズレなどにより、夫婦が一緒に生活していない、または夫婦の生活時間が異なるというケースです(このような夫婦では一般的なタイミング法や人工授精が現実的には不可能となります)。

このような夫婦が、子供を持つことを可能にしたのが精子凍結技術です。精子凍結とは精子をマイナス196度で凍結し、保存することをいいます。 一度凍結させた精子は半永久的に凍結保存することが可能であり、また精子凍結の安全性は医学的に立証されています。

精子凍結の用途ですが、予め精子を凍結しておくことで、夫が不在の場合でも妻の排卵状況に合わせて不妊治療が可能になります(これを社会的適応と言います)。また、これ以外にも、若くして癌にかかった患者が抗がん剤や放射線治療によって造精能力が失われた後でも、治療前に精子を凍結保存をしておくことで、病気の回復後に子を持つ可能性を残すことができる(妊孕性の温存)、極端に精子が少ない人でも数回分の凍結精子を合わせることで体外受精や人工授精の成功率を上げることができる(これらは精子凍結の医学的適応となります)・・などです。

精子凍結のデメリットですが、凍結、融解によって精子の運動率が低下する可能性があります。一般的には50%〜80%程度の運動性が損なわれると言われています。理論的には凍結融解後の精子を用いた人工授精(AIH)は可能ですが、極端に運動性が低下することから、人工授精では妊娠が難しい(顕微受精が必要になる)ということも想定されます。(この点は施設により考え方の相違はありますが、当院では凍結融解精子の場合は全例顕微授精とさせていただいております。凍結融解後の精子では人工授精で妊娠可能な程の運動性が確保できないことが多いためです)

精子凍結技術によってこれまで子供を持つことが難しかった夫婦にも、子供を持てる可能性が広がりました。

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