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銅と不妊症の関係(copper and infertility)

銅の避妊効果、不妊症に対する影響

金属の銅には妊娠を妨げる効果があります。その性質を利用して、子宮内避妊具(IUD)には銅が使われているものがありますが、銅製IUDの避妊効果はほぼ100%(失敗はほぼなし)と言われています。アフターピル(緊急避妊)の失敗率が平均約5%程度(72時間以内に使用した場合です。12時間以内の服用で避妊効果99%程度と言われています。緊急避妊はなるべく早ければ早い方がよいと言われていますが、それでも逆に考えると1%程度の失敗があるということになります)とされておりますので、銅製IUDの避妊効果が如何に絶大であるかが分かります。そこで、この事実を逆手に取って、銅が妊娠を妨げるのであれば、銅を少なくすれば妊娠率が上がるのではないか?と考える人たちが出てきました。事実その通りです。特に、子宮内膜上の銅の沈着は着床率を下げるという報告があります。これは銅製IUDの原理そのものです。

銅と亜鉛の関係

体内の銅が増える原因として、食事との関係、特に亜鉛との関係が重要です。食事から摂取した銅は小腸から体内へ吸収されますが、この時の吸収経路が亜鉛と同一であり、競合すると言われています。小腸から銅と亜鉛は吸収される際に、必要量に対してより濃度の高い方がより多く吸収されると言われています。現代人の、銅、亜鉛の摂取状況に関する厚生労働省の統計によりますと、

銅の必要量は1日 0.8mgに対して、摂取量が1日 1.07mg(銅はやや過剰)

亜鉛の必要量は1日 8mgに対して、摂取量が1日 7.2mg(亜鉛不足)

現代人の食生活は明らかに亜鉛不足、銅過多に陥っていることが分かります。このような状況下では亜鉛より銅の方が優先的に吸収されることになり、体内に銅が蓄積する結果となります。IUDの話からも分かるように体内、特に子宮内膜上に沈着した銅は着床を阻害する働きがありますので、結果として不妊症の原因になります。

銅を増やしすぎない食生活=亜鉛の摂取を

亜鉛の積極的な摂取が特に不妊症患者で推奨される理由の一つとして、この銅との関係性があります。(吸収の過程で銅と亜鉛が競合関係にあり、現代人の食生活における亜鉛不足は結果的に銅の体内、特に子宮内膜上への沈着を起こします)。体内の銅を増やしすぎない方策として、亜鉛含有量の多い食生活(牡蠣、エビ、タコなどの海産物、牛肉、豚肉などの肉類、納豆などを積極的に摂取する)や、亜鉛サプリメントの活用が効果的ではないかと考えられます。亜鉛はセックスミネラルと言われますが、性ステロイドホルモンの合成や精子形成など、不妊症予防に関係する重要なミネラルであると同時に、この銅との関係性においても、不妊症の原因になり得る体内の銅の蓄積を予防するという点で、不妊症予防に重要な役割を担っていると言えるのではないかと思われます。

 

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