卵巣刺激法各論(当院の場合) その1|クリニックブログ

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2016.08.07

体外受精

治療

卵巣刺激法各論(当院の場合) その1

クロミフェン+FSH/hMG療法(経口薬+注射)

s-clomifenetables

クロミフェン(内服)とFSHまたはhMG注射を組み合わせる方法。当院では D1〜3の間にクロミフェン内服を開始し、D4〜8ぐらいの間にhMG/rFSHの注射を開始する。組み合わせる注射の種類(FSHにするか?hMGにするか?)や打ち方(連続打ちor隔日打ち)、注射の単位数(75単位、100単位、150単位)は患者さんごとやその時々のホルモン値(E2、LH、FSH)によって異なり、その時々の状況や過去のホルモン検査の数値をもとに決定している。

*クロミフェン(一般名)=クロミッド(製品名)

メリット

1、体に対する負担を減らしながらかつ複数個の卵子回収を期待できる。(2個〜8個程度)

2、OHSSを予防できる(卵胞数が少なくE2が低い場合はHCGトリガーを行ってもまずOHSSは発症しない。卵胞数が多くE2が高い場合はGnRHアゴニストトリガーにすることでOHSSはまず回避できる。この刺激法はE2や卵胞数によってトリガーをHCG or GnRHアゴニストと使い分けることが可能であるところが大きい)

3、クロミフェンに適度な排卵抑制効果があるため、排卵によるキャンセル率が低い(自験例)

4、麻酔なし採卵が可能(麻酔を必要とするほど数が多くないことが多い。自験例)

デメリット

1、獲得卵子数がロング法、アンタゴニスト法と比べると少ないので採卵あたりの凍結個数が少なめ、採卵あたりの治療効率がロング法、アンタゴニスト法と比べると劣る(もちろん複数個の凍結胚を確保できる方もおりますが)

2、途中でLHが上がりやすく(premature LHサージ)、早期排卵を起こす場合がある。(クロミフェンに排卵抑制効果はあるが、GnRHアゴニストやアンタゴニストほどではない。当院ではNSAIDs(メロキシカム)を併用して早期排卵を予防している)

3、スケジュールの調節性に劣る(下垂体抑制をかけないため、LHが上がりやすい。採卵日が読めない。LHが上がる可能性を考慮して頻回のチェックが必要になるなど)

4、クロミフェンの作用で子宮内膜が薄くなる→新鮮胚移植には向かない。凍結胚移植が必要になることが多い(ほとんど)・・・(当院では、Implantation Windowや子宮内膜の厚さのことを考慮して周期を変えて行う凍結胚移植はむしろデメリットとは捉えておらず、胚の状態がよければよいほど、胚と子宮内膜を同期させ、内膜の厚い状態で戻した方がよいと考えています。もちろん1周期余分にはかかってしまいますが・・・)

当院では・・・

初回採卵周期の患者様で通院に割と融通が利く方、AMHがそこそこ保たれている方、PCOSでロング法でOHSSが予想される方(PCOSではOHSS予防のためにアンタゴニスト法→GnRHアゴニストトリガーという選択が可能です。どちらかというと注射は増えてもよいので最初からたくさん卵を取りたいという方はアンタゴニスト法を選択します)、採卵後にそのまま仕事に行かなければならない方(麻酔がかけられない方)などにクロミフェン+FSH/hMG法を選択します。初回周期の場合は排卵誘発剤に対する反応性が読めないため、当院ではなるべく副作用が少なく身体的負担がかからない方法を第1選択としています。(もちろん最終的には個々の患者様と相談ということになりますが)

卵巣刺激法各論(当院の場合) その2 へ続きます

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