子宮内膜着床能検査(ERA)と胚移植の個別化について|クリニックブログ
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2018.04.13
体外受精
検査
治療
子宮内膜着床能検査(ERA)と胚移植の個別化について
生殖医療における個別化
ここ最近、医療分野における個別化(オーダーメイド)が話題になっています。人間の体は一人一人違うので、質の高い医療を行うためには各人に最適なオーダーメイドである必要があるという考え方です。生殖医療分野でもこの考え方は重要で、そもそも不妊の原因は人それぞれに違うはずなので、旧来の画一的な治療法では限界があり、壁にぶつかるということになります。今回のテーマは体外受精の中でも最後の仕上げである胚移植における個別化に関する話題です。
胚移植の個別化を語る上で、着床の窓(WOI=Window of Implantation)についての理解が必要なので、以下をご参照下さい↓↓
体外受精で採卵を行うと、その後胚移植という段階に進む訳ですが、子宮内膜が受精卵を受け入れられる(着床できる)ある限られた時期というのがあって、その限られた時期のことを”窓”に例えて着床の窓と呼んでいます。(窓が開いている時でないと受け入れられませんよということになります)
反復着床不全(良好胚を何度移植しても着床しない)の方では、一つの可能性としてウィンドウがズレている(移植の時にウィンドウが開いていない)ことが考えられます。(もちろん、反復着床不全の原因はウィンドウのズレだけではありませんのでこれが全ての原因ということではありません。あくまでも一つの可能性です)。着床の窓は黄体ホルモンの開始によってスイッチが入ると言われており、通常は排卵日から5日後周辺、ホルモン補充周期の場合は黄体ホルモン投与を開始した日(推定排卵日)から5日後周辺でウィンドウが開くことが多いとされます。しかし、人によってはこのウィンドウ開大時期がズレる場合があると言われています。(+2日程度ウィンドウ開大日が後ろにずれる方もいるという報告もあります。つまり排卵日から7日目周辺です)。このような着床の窓がズレた患者様に対しては、これまでの既存の方法(推定排卵日から5日後に胚盤胞を移植する画一的な方法)では、上手くいくはずがなく、オーダーメイドで移植日を設定する必要が出てきます。これが胚移植の個別化という考え方です。
胚移植の個別化のための手段としては、移植方法の変更(ホルモン補充周期→排卵周期)、また同じホルモン補充周期であっても移植日をズラす、ERA検査で個別に最適な移植日を検討するなどが考えられます。
ERA検査については以下を参照下さい↓↓
生殖医療におけるオーダーメイド化はこれからの重要なキーワードになると思われます。最初で述べたように、人の体は人それぞれ異なりますので、全員に同じ画一的な治療で上手く行くはずはなく、それぞれの患者様に合った最適な方法を考えて行く必要があります。着床の窓を意識した胚移植の個別化はオーダーメイド不妊治療の実践に欠かせない要素の一つと言えます。
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