精子にとって良い油と悪い油|クリニックブログ
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2017.09.06
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精子にとって良い油と悪い油
脂肪酸の摂取と精液所見の関係
脂肪酸とは脂質(油)を構成する成分であり、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸と植物性脂肪に多く含まれる不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸はさらに、オリーブオイルに代表される一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)と多価不飽和脂肪酸に、多価不飽和脂肪酸はリノレン酸に代表されるオメガ6系(オメガシックス)脂肪酸とα~リノレン酸やDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)に代表されるオメガ3系(通称オメガスリー)脂肪酸に分けられます。また、植物性脂肪を工業的に加工する際に発生する脂肪酸がトランス脂肪酸です。これらの脂肪酸は全て食事から摂る脂質に含まれており、食生活のパターンや食べるものによって、摂取する脂肪酸の傾向が決まります。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取は精子運動率の低下に、反対にオメガ3系脂肪酸をよく摂ると精子運動率の向上に関係することが指摘されています。また、トランス脂肪酸の摂取量が多い男性ほど総精子数が少なく、魚油(アジ、サバ、イワシなどの青魚)に多いオメガ3系脂肪酸の摂取は正常形態精子を増やすことが期待できるかもしれないとの報告もあります。(オメガスリーは他にも亜麻仁油、えごま油などが相当します)。脂肪酸の種類が精液所見に影響を及ぼすのは、精子細胞の細胞膜がどんな脂肪酸で構成されるかで、精子をつくる働きや精子の運動能力を決定するからではないかと考えられています。動物性脂肪や加工食品、クッキー、スナック菓子、ジャンクフード(これらにはトランス脂肪酸が多く含まれる)を食べ過ぎないようにし、魚や野菜、精製度の低い穀物を中心にすることが精子の運動能力にはいいということになります。精子の所見(精子数、運動率、奇形率など)は食生活のパターンに強く影響を受けるということが言えます。
結論
精子にとって良い油とは、DHA、EPAなどのオメガスリー(オメガ3系)に分類される油。これらは特に魚油、えごま油、亜麻仁油に多く含まれるため、魚を積極的にとったり、調理に使う油を変える、EPA、DHAのサプリメントを積極的に摂るなどを行うことで、精子の質を向上させるのに役立つ可能性が考えられます。
摂取脂肪酸の種類と精液所見の関係については、以下の当院関連ブログもぜひご参照下さい。
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