反復着床不全、反復流産、反復体外受精不成功に対する新しい治療戦略|クリニックブログ

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2018.04.12

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反復着床不全、反復流産、反復体外受精不成功に対する新しい治療戦略

GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)

体外受精を繰り返すが中々結果が上手くいかないとお悩みの方も多いと思います。本日はそのような患者様に向けての新しい治療戦略についてのご紹介です。

サイトカインという言葉を聞いたことのある方もおられるかと思います。サイトカインとは細胞から分泌されるタンパク質(細胞増殖因子)で、細胞の分化、増殖、機能の発現に重要な要素と言われています。人の体を構成する細胞のありとあらゆる機能はこのサイトカインによって支配され、受精卵の発育、着床、胎児への分化も例外ではありません。一説によると、受精卵と子宮内膜はサイトカインの伝達によってクロストーク(会話)をしているとも言われ、受精から胚発生、さらに胚の子宮内膜への接着(着床)の過程ではサイトカインを介したクロストークが重要な役割を担っていると言われています。これら胚の発生から分化着床に至る過程のサイトカインネットワークが上手く機能しない、または破綻している方では胚の分割停止や着床不全、または反復流産の原因になるとも言われており、近年この分野が非常に注目を集めています。

これらの重要なサイトカインの一つがGM-CSFです。GM-CSFは細胞の分化、増殖に重要な役割を担いますが、特に着床時期に発現量が増えることが知られています。GM-CSFは子宮、卵管などの細胞から分泌され、受精卵に働きかけることで発育の促進や着床に関係するとされます。受精卵の発育停止や着床不全、反復流産の患者様では、本来着床時期に卵管、子宮から分泌されるGM-CSFが何らかの理由で発現量が少なく、結果として体外受精不成功の原因につながるのではないかと考えられています。(自然妊娠しにくい、妊娠はするが流産を繰り返すいわゆる不育症の方の一部にもGM-CSFの発現が少ないなどの方がいるとも考えられています)

上記のような患者様に対する治療戦略として、胚培養液へのGM-CSF添加が考えられます。市販されている胚培養液の中にGM-CSF含有の製品が販売されており、胚盤胞まで中々育たない方、反復流産、体外受精反復不成功、の患者様に有効ではないかと考えられています。

GM-CSF添加培養液が有効と考えられる方

1、反復着床不全

2、反復流産

3、化学流産を繰り返す方

4、体外受精反復不成功だが原因がはっきりしない方

当院では、最新の知見を得る目的で医師と培養士が中心となって、定期的な抄読会を開催しておりますが、先日の抄読会でGM-CSFについて以下の論文読み合わせを行いました。(2013 Fertility &Sterility) 当院ではこれまでに反復流産症例、反復体外受精不成功症例(当院、他院を含めてこれまでに体外受精での不成功が続く患者様)、反復着床不全に対する新しい治療方針としてGF-CSF含有培養液をトライし、従来の治療方式との比較検討を開始いたしました。

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