原因別の治療方法|クリニックブログ
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2022.05.30
治療
原因別の治療方法
排卵が順調でない場合(排卵障害)
排卵が順調でない方(排卵障害)には排卵誘発剤を使います。排卵が順調な方に排卵誘発剤を使うケースを見かけますが、当院ではお勧めしていません。必要以上の排卵を起こし多胎妊娠となったり、卵巣への負担がかかるためです。
卵管閉塞、卵管狭窄の場合
卵管閉塞、卵管狭窄の方では、本来であれば体外受精がベストな治療法なのですが、片方の卵管のみに異常のあるケースでは悩みどころです。
卵管に異常のある側の卵巣から排卵した場合は卵子のピックアップ障害や卵子と精子が出会えないために妊娠の可能性はほぼゼロになるため、1回の貴重な排卵を無駄にしてしまうことになります。
仮にその卵が赤ちゃんになれる良質の卵子だった場合は大変もったいない話です。
よって当院では片側卵管異常の方では高齢の方(35歳以上)や若くてもこれまでに1年以上妊娠していない方では体外受精を第1選択としてお勧めはいたします。
しかし、多くの患者様は少しでも自然妊娠に望みをつなぎたいと考えられるため、”片方の卵管は大丈夫”と言われればタイミング法や人工授精を希望される方が多いです・・・そのお気持ちはよくわかりますので否定はしません。治療法を選択するのは患者様ご自身なので強制はいたしません・・・しかし正直なところ片側卵管のみでの妊娠の確率はかなり低いと思われます。単純な話ですが、卵管が半分しかないため妊娠率は通常の半分になります。タイミング法の1周期あたりの妊娠率を10%とすると片側卵管の方では5%かそれ以下です。異常のない卵管側の卵巣からの排卵をひたすら待ち、運良く良質の卵子が排卵し、それがうまく卵管に取り込まれれば・・・妊娠の可能性はゼロではありません・・・が、結構気の長い話かもしれません。片側の卵管は無事だから・・・ということにあまりしがみ付いていると、妊娠のチャンスを失う可能性もあり得ます。
精子異常の場合(精子数が少ない、精子運動率が低い)
精子異常の方(精子数が少ない、精子運動率が低い)では、精子の状態によって治療法を考えますが、これまでに毎月定期的に排卵日付近でSEXをしている方では、それ以上タイミング法を続けても妊娠できる可能性は低そうなので最低でも人工授精以上の治療をお勧めはします。
場合によっては最初から体外受精、顕微授精でないと妊娠は難しいと思われるような精子の状態という方(高度乏精子症、精子無力症、奇形精子症など)もおられます。
原因不明不妊症の場合
原因不明不妊症に対して本来最も勧められる治療法は<体外受精>です。原因不明不妊症とは検査によって原因を特定できないがなかなか妊娠しない状態です。原因が特定できない理由は妊娠にいたる過程(排卵、受精、受精卵の発育、着床)が体内で起こるために体の外から確認することができず、妊娠しない原因がどこにあるのかが確認できないためです。体外受精では受精から着床にいたる過程(受精がうまくいっているか?、受精卵が正常に発育しているか?、受精卵が子宮内膜に到達しているか?)を体外で目に見える形で確認することができるので、なぜ妊娠しないのか?その原因を特定することが可能になります。よって原因不明不妊の方にこそ体外受精が最も勧められる治療法なのです。
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