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体外受精の一般的なリスクと、当院におけるリスク対策

卵巣刺激で使用する排卵誘発剤や採卵時の卵胞穿刺など、体外受精の行程ではいくつかの副作用や危険が考えられます。
こうした問題が出ないよう当院では細心の注意を払って治療を行っていますが、万一の場合は適切な対処を行い患者様の早期回復に努めます。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

大量の排卵誘発剤を使用することによって多数の卵胞が発育した際に起こる副作用です。
卵巣腫大、腹水や胸水の貯留、血栓症、呼吸困難などの症状が出てきます。

当院で行う卵巣刺激法はほとんどが低刺激法であるためOHSSの発症はゼロではありませんが非常に稀です(開院以来発症件数はゼロです)

卵巣過剰刺激症候群の主な自覚症状

  • 喉が渇く
  • 尿が減る(1日500ml以下になる)
  • 体重が増加する(1日1kg以上増える)
  • 息苦しくなる
  • 腰痛
  • お腹が張る

卵巣過剰刺激症候群が予測される場合の対応

  • 排卵誘発剤の投与と採卵を中止します。
  • 採卵をした段階で予測された場合は胚移植を中止し胚は全て凍結保存とします。
  • 凍結胚は次周期以降に移植します。

卵巣過剰刺激症候群と診断された場合は症状の度合いによって適切な治療を行います。

軽症の場合
経過観察・自宅安静もしくは通院にて点滴治療を行う場合もあります
重症の場合
入院管理のもと点滴等により全身の状態を整える治療が必要になります。腹水が多量に貯留している場合は腹水を抜く腹水穿刺が行われる場合があります。

当院では開院以来OHSSを発症したケースはありませんが、万一発症した場合は近隣の高次医療機関と連携して入院等の手配を行います。


採卵に伴い起こる可能性のあるリスク

採卵は経膣超音波下で慎重に行いますが、ごくまれに腹腔内出血、膀胱出血、腹腔内感染を引き起こすことがあり、症状によっては手術が必要になる場合もあります(当院では開院以来1例もございません)。

腹腔内出血
腹腔内出血は卵胞穿刺を行った際に、穿刺部位の小血管からの出血が持続して起こります。通常は止血機構が働き微小な出血は自然に止血しますが、何らかの異常で止血機構がうまく働かない場合に起こり得ます。
当院では不妊治療中の患者様に対して定期的に血小板数や凝固因子の確認を行い、止血機構に異常がないかを事前に確認しています。
膀胱出血
膀胱出血は、卵巣が通常の位置になく、膀胱を貫通して卵胞穿刺を行わなければならない場合に起こることがあります。
多くは一過性の出血で血尿等はすぐに治まりますが、採卵翌日まで血尿が続く場合や尿が出にくくなったと感じたときはすぐにご連絡の上受診してください。
腹腔内感染
腹腔内感染は採卵時に腟内の細菌が腹腔内に入ることで起こります。予防対策として、腟内の十分な消毒と抗生剤の投与を行います。
特にチョコレート嚢腫や卵管水腫、過去に骨盤腹膜炎を起こしたことがある方では注意が必要です。

胎児の先天異常等の発生について

体外受精で生まれてくる児の先天異常のリスクは自然妊娠と比べてほとんど差がないと言われています。
ただし、顕微授精の場合は一般の体外受精と比べて染色体異常による流産率がごくわずかに上がる可能性が指摘されています。
また、高度男性因子に対して顕微授精を行った場合に、ごく一部の男児に父親の特徴が遺伝して引き継がれる(精子数が少ない、運動率不良など)可能性が指摘されています。

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