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1PN(単前核)胚の移植可否について・・・戻すべきかどうか迷ったら・・

1PN(単前核)胚の移植可否について・・・戻すべきか迷ったら・・
正常受精においては前核(PN)が細胞内に2個目玉のようにならんで見られることが一般的です。この2個の前核は雄性前核(父親由来の遺伝情報を含む)と雌性前核(母親由来の遺伝情報を含む)で構成されます。前核(PN)は精子由来のゲノムと卵子由来のゲノムが受精によって融合するまでの間に見られ、一般的には採卵翌日の受精確認の段階で、この前核が2個見えるかどうかをもって正常受精かどうかの判断を行なっています。
ところで、ARTにおいて一定の割合で1PN胚(前核が1つしか見えない胚)が出来ることがあります。従来1PN胚は異常受精であり、染色体数異常胚であることが多いとして移植から除外されることが多かったですが、ここ最近、このような1PN胚の中にも通常の2倍体(正常染色体数)の胚が稀に含まれていると言うことが分かって来ました。
また、同じ1PN胚でも受精現象が異なる一般体外受精(cIVF)と顕微授精(ICSI)の場合は同列に扱うことが出来ませんが、これまでは特にICSI由来の1PN胚は染色体数異常で正常妊娠出来ないと言われて来たものが、このような胚の中にも2倍体胚が含まれ正常妊娠できるものがあることも分かって来ています。
 1PN胚のうち、移植に供することが出来る胚かどうかについて、胚盤胞に育つか否かが一つの判断材料として有用であることが分かっています。1PN胚のうち2倍体で正常妊娠できる可能性の高い胚は胚盤胞まで発育することが多く、逆に胚盤胞まで育つような1PN胚は2倍体である可能性が高いと言うことが言われています。染色体異常胚は胚盤胞になる前に淘汰されると言われています。(PGT-Aによって染色体数の解析を行えばさらにもっとはっきりすることではありますが・・)
 タイムラプスシステムを使うと、媒精(卵子と精子を受精させる作業)から胚盤胞形成までの全ての一連の過程を連続的に観察することが出来ます。しかも、インキュベーターをいちいち開閉させる作業が必要ないので、受精卵が空気、紫外線、振動、温度変化、湿度変化etcにさらされることがなく、ストレスフリーで観察が出来ます。
高齢の方や、poor responderと呼ばれるAMH lowで獲得卵子数が少ない方では特に、数少ない受精卵を移植の対象として良いのかどうか、判断に迷うケースも多いと思いますが、このような時に胚盤胞培養は判断材料の一つになる可能性が考えられます。(胚盤胞になかなかならない方もおられますが、そこは悩みどころです。本来は2倍体(正常染色体数)の胚だが、培養環境や観察時のストレス、もしくは培養液との相性などで胚盤胞まで育たないのか、そもそも元々が染色体異常胚なのでそう言う結果になるのか、判断に迷うところですが、ストレスフリーの培養環境=タイムラプスインキュベーターを使うことで答えが見つかる可能性は大いに考えられます)
3PN以上の多前核胚(polynucleates)は明らかに染色体異常胚なので移植胚からは完全に除外する必要があります。
以下、1PN胚で移植に供することが出来る場合もあると言う、最近の報告を紹介します。今後の治療の際の参考にしていだきましたら幸いです。 ↓↓↓
1PN
前核
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