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2017.02.23

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治療に対する明確なビジョンを持ちましょう。

あなたはこれから自分が受けようとする治療に対する明確なビジョン(どのような治療を受けたいのか?、どのくらいの予算で治療を行いたいのか?、いつごろまでに妊娠したいのか?・・・etc)を持っていますか? 当院は一般産婦人科と不妊治療に対する考え方が大きく違います。今回、そのあたりを中心に記載いたしました。

不妊治療における保険診療と自費診療

不妊治療は大きく分けると保険が使える治療(保険診療)と保険が使えない治療(自費診療)に分けられます。

保険診療で認められている治療法は簡単にいうと排卵誘発剤を使ったタイミング法です(これだけです)。排卵障害(自力で排卵ができない方)に対して、保険上認められている排卵誘発剤(内服の場合はクロミフェン、注射の場合はFSH製剤やHMG製剤やHCG製剤)を使用した場合のみ、使用した排卵誘発剤と途中経過のための超音波検査が1周期に3回まで保険適応となります。排卵障害のないケースで自然周期のタイミング法を行った場合は超音波に保険は適応されません(排卵障害がないということは病気ではないと判断されます)。また、保険適応外の薬を排卵誘発剤(フェマーラ、メトホルミン等)として使った場合はもちろんこれらの薬代や、その周期で行った超音波検査等は全て自費となります。(混合診療が認められていないため、例えば超音波だけ保険で薬は自費とかそういうのは不可ということになります)。不妊専門クリニックでは排卵確認のために1周期に場合によっては数回ほどホルモン検査(E2、LH、P4、FSH等)を行いますが、このような検査も保険診療では認められていません。せいぜいホルモン基礎値としてD3あたりで行う1回程度の採血検査は保険で認められるかもしれませんが、それ以上の検査は全て自費ということになります。甲状腺の検査、糖尿病の有無の検査、貧血の有無の検査、AMH(卵巣年齢検査)など、不妊治療開始時に行われるいわゆるスクリーニング検査(例えば重症の甲状腺異常や糖尿病など妊娠してはまずい病気がないかをあらかじめ不妊治療の開始前に確認するような検査をスクリーニング検査と言います)と呼ばれるものの多くは自費検査です。また、人工授精を行った場合の手技代は自費ですし、体外受精は完全に自費診療です。

保険診療の利点はどの患者様にも保険診療で認められた一律の料金でそれなりの治療を受けることができます。欠点は受けられる治療がそれなりで終わってしまうという点です。保険診療の場合はどの患者様にも同一料金で画一の治療を行います。例えば病気の程度が保険でまかなえる状態であれば(不妊症の場合は保険診療で認められる範囲の治療で妊娠できる状況であれば)よいですが、保険の範囲を超えた処置が必要な場合(不妊症の場合はタイミング法以上の人工授精や体外受精などの処置が必要な場合)には保険上認められた医療行為だけでは限界がありますし、何よりも本来必要な治療の内容は患者様ごとに異なり、それぞれの原因に応じた治療を行うのが本来はベターであるはずですが、保険診療ではその点が難しいということになります(簡潔にいうと、保険診療では患者様ごとに行うオーダーメイド治療ができないということになります)。このように考えると、保険診療でできる不妊治療は実は幅が狭く、ごく一部の治療しか対象にならないということになります。

自費診療の場合は、保険診療の抱えるこのような問題がなく、患者様に対して治療効果が高く、必要かつ十分な治療を行うことができます。医学的妥当性を逸脱しないかぎり、治療の内容に特に制限はありません。欠点は唯一、費用が高額になるという点です。

なお、当院で行う不妊治療はほぼ全例で自費診療です。一人一人の患者様に出来るだけ早く妊娠していただくことを目標としているため、保険診療で認められた範囲内での治療内容では限界があると考えているためです。ご理解の程どうぞよろしくお願いいたします。(保険診療による治療をご希望の患者様には近隣の一般産婦人科のご紹介も可能です。どうぞご遠慮なくお伝えください)

治療に対する明確なビジョン、正しい知識をもつ

上記のように、不妊治療には保険診療と自費診療があり、それぞれに長所短所があり、どちらがよくてどちらがダメということではありません。自身が受けようとされる治療の内容をよく理解し、予算も考慮した上で、例えば保険診療でカバーされる程度までの治療は希望するがそれ以上の治療は希望しないとか、自費診療であっても効果のより高い治療を希望するとか、明確な意思をもって治療に臨むことが必要ではないかと思われます。不妊治療にかけられるお金、時間は限られています。後悔をしないためにはどのような時期にどのような治療を受けるべきなのか、よくよく検討することは必要ではないでしょうか?

当院の考え方、方針

当院では以下のようなケースで体外受精へのステップアップまたは第一選択として体外受精を勧めています。(予算を抜きにして純粋に医学的な理由だけを考慮した場合です)

* 一般の産婦人科でこれまでに半年〜1年以上のタイミング療法または人工授精をすでに受けている。

* 妻の年齢が特に35歳以上のケースでこれまでに治療歴がない場合は、まず3〜4クール程度の一般不妊治療を実施しますが、その段階で妊娠に至らない場合にそれ以降の治療法として引き続き一般不妊治療で進めるか、体外受精を視野にいれるか、治療法の選択肢を提示します。もちろんこの段階で絶対にステップアップしなければならないということではなくてもうしばらく一般不妊治療を進めるというのもありです。ただし、例えば39歳の方、42歳の方では、誕生日が来てしまうことで体外受精に進んだ場合に受けられる助成金の回数が大きく変わる(39歳までは通算6回、40歳以上42歳までは通算3回、43歳以上は助成金が受けられません)ので、このギリギリの年齢の方には特に助成金との兼ね合いで体外受精の案内をいたします。(もちろん最終的に決断されるのは患者様ご自身であり、当院では患者様の決断を尊重しています)

* 排卵障害のないケースでの不必要な排卵誘発剤の使用やヒューナー良好症例でのAIHは積極的には勧めませんが、患者様の希望がある場合はケースバイケースで相談しています。(一般不妊治療において、排卵誘発剤とAIHの組み合わせで妊娠率が上昇するという報告はありますが、当院では危険性の高い多胎妊娠防止に重点をおいているため、一般不妊治療での過排卵周期、過排卵周期状態でのタイミング法、AIHは行っておりません)

* 当院で行う不妊治療は原則すべて自費診療です。当院の目標は、一人一人の患者様に出来るだけ早く妊娠していたくことであり、保険診療で行う治療には限界があると考えているためです。(保険診療による治療をご希望の患者様には近隣の一般産婦人科を紹介させていただくことも可能です。どうぞ遠慮なくご相談下さい)

不妊治療のゴールは妊娠ではない

不妊治療のゴールは単に妊娠することではなく、その後の出産、育児につなげていくことだと当院では考えています。まずは何とか妊娠すること、そして第1子を無事に産むことが先ですが、第1子が生まれて環境が落ち着けば自ずと第2子も考えたいという患者様は多いと思います。第1子の妊娠をなるべく早く、できれば気力体力に余力を残して卒業していただきたいというのが当院へ治療に来られる患者様への思いです。そうすることで第1子の出産、育児に対して気持ちの余裕もできてくると思いますし、将来的に子供は2人と考えておられる方なら、第2子の不妊治療開始の時期も早めに行うことができます。”治療にかける時間はなるべく短く、生まれてくる子供と過ごす時間は長く有意義に”というのが当院の基本スタンスです。

不妊治療に対する考え方は施設ごとに様々

当院で治療中の患者様で、当院のステップアップの進め方、ペースが早いのでは?と考えておられる方もいらっしゃるのではないかと思いますが、上記のような理由とお考え下さい。もちろん、不妊治療に対する考え方は施設ごとに色々あります。ステップアップ法できちんと段階を踏んで(タイミング法6クール→AIH6クール→それでもダメなら体外受精)という考え方も決して間違いではないですし、その進め方が合っていると考える患者様もおられると思います。当院としてはそこを否定するものではありません。要は、自分が受けたい治療はどういう治療なのか?、そこの施設の考え方は自分に合っているのか?、これから自分が受ける治療に後悔がないように、明確なビジョン、意思を持つことではないかと思います。(不妊専門クリニックでは多くの治療が自費診療で行われますが、自費診療では各施設ごとに料金設定が異なります。以下もご参照ください)

なぜこんなに違う?不妊治療の料金

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