鉄不足と不妊症|クリニックブログ
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2016.05.18
不妊症
鉄不足と不妊症
低フェリチンは不妊症の原因として注目されています。
あなたの体、鉄は十分足りていますか?
体内の鉄は60~70%がヘモグロビンとして、残り20~30%はフェリチン(貯蔵鉄)という形でストックされています。月経による出血等で体内の鉄が失われると、まずは生命活動を維持するために重要なヘモグロビンの鉄を維持することを優先し、貯蔵鉄であるフェリチンの鉄が最初に消費されます。さらに毎月の月経によって徐々に鉄が失われていき、失われた分の鉄が補充されない状態が続けば、ヘモグロビン値は正常でもフェリチンが低いといういわゆる”隠れ貧血”と呼ばれる状態に陥ります。卵子の老化を抑制する抗酸化酵素が働くためには鉄が必要です。そのためフェリチン値が低い(貯蔵鉄量が少ない=隠れ貧血)方では、卵子の質が悪くなり、妊娠しにくくなります。妊活中の方では常時血中フェリチンを50ng/ml程度以上に維持した方がよいと考えられています。不妊症以外にも鉄不足は様々な不定愁訴と深く関係しています。
鉄が不足することで起こる様々な症状
- 動悸、めまい、肩こり、頭痛
- 皮膚、爪、髪の毛、粘膜のトラブル
- あざ、歯茎の出血、抜け毛など
- 氷を好んで食べる
- 注意力の低下、イライラ感
- 食欲不振
- 抑うつ感
フェリチン値を上げるための方法
鉄を多く含む食品をとる(肉や魚を積極的に食べる)
鉄の吸収を良くする栄養素をとる(タンパク質、ビタミンC、ビタミンEを積極的にとる)
吸収されやすい形態の鉄(動物性食品=肉、魚に多く含まれるヘム鉄)をとる
当院での取り組み
当院では不妊治療中の方のフェリチンコントロール目標を50ng/mlに設定しています。目標値を下回る患者様には鉄剤、ビタミンC、ビタミンEの処方を行っています。それでも普段の食生活は最も重要です。薬やサプリメントはあくまでも補助的なものにしかなりません。不妊治療中の患者様は是非、普段の食生活から見直しをお願いします。
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