第2子不妊治療について|クリニックブログ
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2017.01.20
不妊症
治療
第2子不妊治療について
第2子不妊治療をお考えの患者様へ
当院は開院からまもなく4年目(丸3年経過)を迎えますが、第2子不妊治療希望で来院される方が増えてきました。新規の患者様もおられますが、第1子を当院で治療されて出産されてこれから第2子という方もおられます。そこで、第2子不妊治療について当院の基本的な考え方書いてみました。
断乳、卒乳と不妊治療開始時期の関係
卒乳とは、子供の方から自発的におっぱいを卒業する(まさに卒乳)ことであり、断乳とは親の事情(例えば仕事復帰しなければならないとか)で授乳をやめる(おっぱいを断つ)ことを言います。ここでは敢えて、卒乳はよい、断乳はダメとかいうような議論はいたしません。断乳でも、卒乳でもどちらでもよいので、どちらかが完全にできた(3食離乳食が食べられるようになったぐらい)段階から第2子不妊治療は開始できます。授乳中は多くの方で周期的な月経がありません。(=周期的な排卵がないということ)これは、排卵が抑制されているためです。(もちろん、この排卵の抑制は100%完全なものという訳ではないので、この間に妊娠しては困る、という方は避妊が必要です)。逆の捉え方をすれば、授乳中でも妊娠の可能性はない訳ではないので、堅苦しい不妊治療という枠にとらわれないで夫婦間のコミュニケーションのつもりでSEXをしていれば意外に妊娠したというような事例も散見されます。
生殖医療の立場と産科の立場の違い
第2子不妊治療を考える際に、生殖医療側と産科側で考え方に違いがあります。(と、当院では考えています)。我々生殖医療者が常に意識するのは加齢と卵子の老化の関係です。第2子の不妊治療は、実は第1子の不妊治療より高い年齢の壁が立ちはだかり、時として治療が困難であり、しかし時期を逃すことなく必要かつ十分な治療を行えば、本来は妊娠できる方であるから、結果が出やすい、というのが当院の基本的な考え方です。(実は世間一般的には第2子不妊治療の難しさについて意識されているケースは少ないです。一人産んでいるんだからすぐにできるはずという考え方が基本にあるためではないかと思われます)。女性の年齢ということを考えると、第2子治療の開始は少しでも早いに越したことはなく、早く卒乳、断乳ができればそれだけ早く治療が開始できる(=それだけ結果を出せる可能性が高くなる)ということを意味しています。しかしこのことは、産科や助産側の立場で語られることはあまりありません(たぶんほとんどないでしょう)。かつては、子供が1歳になるころには断乳を進めましょうというような風潮がありましたが、現在はこの考え方は否定されており、授乳の終了は赤ちゃんとお母さんのペースに合わせて、という考え方が主流となっています。(最近の考え方ではいつまでに授乳を終了しなければならないとかいう決まりはないです)。もちろん母乳には他で代替できない多くのメリット(愛着形成、免疫力強化・・・)がありますので、第2子不妊治療ということを抜きにすれば、それなりの期間やっておいた方がよいという考え方もありだと思います。授乳に対する考え方は生殖医療側、産科側で根本的な考え方、目的とするところが異なっているため、一概にどちらが正しくてどちらが間違っていると言えるようなことでもないのですが、当院の基本的なスタンスとしては、第2子不妊治療でなるべく成果を出したいなら、可能な範囲でできるだけ早く卒乳、断乳を勧めます。(もちろんそれが絶対に正しいというわけではないですし、長期の授乳を否定するものではありません)
一人目の治療とは違うという認識は必要
第2子不妊治療を考える際に、一人目の治療とは違うという認識を持つことは必要でしょう。卒乳、断乳の問題もそうですが、これまでになかった色々な困難に出くわすこともあります。(年齢の影響で思うように治療がうまく行かない、通院中の第1子の預け先の問題、職場復帰と不妊治療の両立・・・etc)。第1子の時より体力的にきついとおっしゃる方もおられます。自分と同じように夫も歳をとっているので、男性側の問題(精子の質、量、運動率など)も出てくるかもしれません。また、第2子不妊治療に対して、夫婦間で気持ちや認識のズレがあるご夫婦もおられます(自分は治療をしたいのに夫がそこまで乗り気ではない)。第1子の不妊治療の時以上に、夫婦で乗り越えなければならない問題は意外に多いと思います。
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