ミオイノシトールについて|クリニックブログ
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2017.10.06
不妊症
治療
ミオイノシトールについて
イノシトール・ミオイノシトール
イノシトールは、シクロヘキサンの各炭素上の水素原子が1つずつヒドロキシ基に置き換わった構造(1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオール)を持ち、ヒドロキシ基の位置により以下のような9種類の異性体が存在します。
- cis-イノシトール (1,2,3,4,5,6/0-イノシトール)
- epi-イノシトール (1,2,3,4,5/6-イノシトール)
- allo-イノシトール (1,2,3,4/5,6-イノシトール)
- myo-イノシトール (1,2,3,5/4,6-イノシトール)
- muco-イノシトール (1,2,4,5/3,6-イノシトール)
- neo-イノシトール (1,2,3/4,5,6-イノシトール)
- chiro-イノシトール (1,2,4/3,5,6-イノシトール) D体とL体が存在
- scyllo-イノシトール(1,3,5/2,4,6-イノシトール)
ミオイノシトール(myo inositol)は、イノシトールの9異性体のうちの一つです。
イノシトール自体はビタミンB群の一種であり、生体内でグルコースから合成されると考えられています。体内イノシトール濃度の低下が、糖尿病患者における神経障害に関係したり、また、パニック障害や強迫性障害などの精神科疾患との関連も指摘されています。
不妊症の分野では、ミオイノシトール(myo-inositol)には、インスリン抵抗性を改善する作用があるとされ、糖尿病合併不妊症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、成熟卵子(MⅡ卵子)がなかなか取れない症例等に有効であるなどの報告があります。また、ミオイノシトールが卵子と胚の質を改善させ、胚発生に重要な役割を担っていることが報告されています。海外ではPCOS患者向けのイノシトールサプリメントが割とよく出回っています。
当院の方針
耐糖能異常(糖尿病予備軍)の方、PCOSの方、これまでの体外受精で未成熟卵子が多い方(MⅡ率が低い方)、卵巣予備能低下の方(AMHが低い方)に対して、ミオイノシトールの内服を推奨しています。採卵周期の開始前に2〜3クール程度(1クール=1ヶ月)の内服を行い、採卵周期に入るようにしています。これまでにPCOSの方で、体外受精準備期間にミオイノシトールを服用していたところ数例の自然妊娠症例も経験しています。PCOS患者様での有用性を実感しています。
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