PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)とは?妊娠率・流産率・対象者について解説|佐久平エンゼルクリニック 生殖医療科|クリニックブログ

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2026.10.26

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PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)とは?妊娠率・流産率・対象者について解説|佐久平エンゼルクリニック 生殖医療科

💡 PGT-Aとは?胚移植前に染色体の数を調べる検査です

「体外受精を繰り返しているのに妊娠しない」

「妊娠しても流産を繰り返してしまう」

「年齢による卵子の染色体異常が心配」

このようなお悩みをお持ちの方に、治療の選択肢の一つとなるのが**PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)**です。

PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、体外受精や顕微授精によって得られた受精卵(胚)について、子宮へ移植する前に染色体の数の過不足を調べる検査です。

染色体数に明らかな異常が認められない胚を選択することで、染色体異数性による着床不成功や流産を減らせる可能性があります。

ただし、PGT-Aはすべての患者様の妊娠率や最終的な出産率を向上させる検査ではなく、適応を慎重に判断する必要があります。

🧬 なぜ胚の染色体検査が必要なのでしょうか?

ヒトの細胞には通常46本、23対の染色体が存在します。

ところが、卵子や精子の形成過程、あるいは受精後の細胞分裂の過程で、染色体の数に異常が生じる場合があります。

このような染色体の数的異常を「染色体異数性」と呼びます。

染色体異数性を持つ胚では、正常に発育できなかったり、子宮内に着床しても妊娠が継続できず、流産に至ったりする場合があります。

また、女性の年齢が高くなるにつれて、卵子由来の染色体異数性が増加する傾向があることが知られています。

重要なのは、胚盤胞の形態が良好であっても、必ずしも染色体数が正常とは限らないという点です。

PGT-Aは、従来の胚の形態評価だけでは判断できない染色体数の情報を、胚移植の選択に役立てることを目的としています。

☝️ PGT-Aを行う目的と期待されるメリット

① 染色体異数性による流産リスクの低減

妊娠初期の流産には、受精卵の染色体異常が関係しているものが少なくありません。

PGT-Aで染色体数を評価し、異数性が認められない胚を選択することで、染色体異数性に起因する流産を減らせる可能性があります。

ただし、流産には子宮の形態異常、内分泌異常、抗リン脂質抗体症候群など、染色体以外の要因も関与します。

そのため、PGT-Aによってすべての流産を防げるわけではありません。

② 胚移植の優先順位を判断する材料になる

複数の良好胚盤胞が得られた場合、どの胚から移植するかは重要な問題です。

従来は胚盤胞の形態や発育段階などを参考に移植胚を決定していました。

PGT-Aを行うことで、染色体数に関する情報を加えて移植する胚を検討できるようになります。

一方、PGT-Aで正常範囲と判定された胚でも、必ず着床・妊娠するとは限りません。

③ 不必要な胚移植を減らせる可能性

明らかな染色体異数性が認められる胚への移植を避けることで、結果として妊娠につながりにくい胚移植を減らせる可能性があります。

患者様によっては、胚移植の回数や流産に伴う身体的・精神的負担を減らすことが期待されます。

ただし、PGT-Aにより採卵1回あたりの累積出生率が必ず改善するわけではなく、検査結果によって移植できる胚がなくなる可能性もあります。

✅ PGT-Aの対象者とは?

日本産科婦人科学会が2025年9月に改定した細則では、主に以下の3つの条件がPGT-Aの対象として定められています。

① 反復する体外受精・胚移植の不成功を経験された方

体外受精・胚移植を繰り返しても妊娠に至らない場合、胚の染色体異数性が関与している可能性があります。

PGT-Aは、移植胚の選択を考える際の選択肢となります。

ただし、反復着床不全には胚以外の原因が関与することもあるため、子宮内環境や胚移植条件なども含めて総合的な評価が必要です。

② 反復流産・死産を経験された方

流産や死産を繰り返している場合、胚の染色体異常が原因となっている可能性があります。

PGT-Aは、染色体異数性による流産の回避を目指す選択肢の一つです。

なお、ご夫婦のいずれかに均衡型転座などの染色体構造異常が認められる場合には、PGT-Aとは異なるPGT-SRなどの検討が必要です。

③ 女性が高年齢の不妊症の方

2025年9月の日本産科婦人科学会の細則改定により、女性が高年齢の不妊症のご夫婦も対象に追加されました。

年齢の目安は35歳以上です。

これは、女性年齢の上昇に伴う胚の染色体異数性の増加などを踏まえたものです。

ただし、35歳以上であればすべての方にPGT-Aが有効という意味ではありません。

卵巣予備能、採卵数、得られる胚盤胞数、これまでの治療歴などを踏まえて判断することが大切です。

🔬 PGT-Aの検査方法と流れ

PGT-Aは、体外受精または顕微授精で得られた胚を用いて実施します。

  1. 採卵・受精
    採卵した卵子を体外受精または顕微授精によって受精させます。

  2. 胚盤胞まで培養
    受精卵を通常5〜7日目頃まで培養し、胚盤胞へ発育させます。

  3. 胚の一部の細胞を採取(生検)
    将来胎盤の一部になる栄養外胚葉から、少数の細胞を採取します。

  4. 染色体数の解析
    採取した細胞について、次世代シーケンサー(NGS)などを用いて染色体の数的異常を解析します。

  5. 結果をもとに移植方針を検討
    検査結果を踏まえて移植候補となる胚を検討します。通常、検査した胚は凍結保存し、結果確認後に胚移植を計画します。

検査結果には、染色体数が正常範囲と考えられるもの、異数性が疑われるもの、モザイクが疑われるもの、判定不能なものなどがあります。

結果の解釈には専門的な知識が必要です。

⚠️ PGT-Aの限界と注意点

PGT-Aは有用な情報を得られる検査ですが、万能な検査ではありません。

PGT-Aを受ける前に、次の点をご理解いただくことが大切です。

  • 染色体数が正常と判定された胚でも、妊娠・出産が保証されるものではありません。

  • 胚の一部の細胞のみを調べるため、胚全体の染色体状態を完全に反映しないことがあります。

  • 正常な細胞と異常な細胞が混在する「モザイク胚」の判定には限界があります。

  • 検査のための生検操作が胚へ影響を与える可能性があります。

  • 検査結果によっては移植可能な胚が得られない場合があります。

  • PGT-Aはすべての遺伝子疾患や先天性疾患を調べる検査ではありません。

  • 妊娠成立後も通常の妊婦健診や必要に応じた出生前検査が重要です。

PGT-Aは、すべての体外受精患者様に一律に推奨されるものではありません。

📊 PGT-Aで妊娠率・出産率は上がるのでしょうか?

PGT-Aの効果を考えるうえで重要なのは、「胚移植1回あたりの妊娠率」と「採卵から最終的に出産に至る割合」は異なるということです。

PGT-Aによって染色体数が正常範囲と判定された胚だけを移植する場合、移植1回あたりの成績が良好に見えることがあります。

しかし、PGT-Aを行った結果、移植可能な胚が減少したり、移植に進めなくなったりする患者様もいらっしゃいます。

2021年に発表された多施設ランダム化比較試験では、20〜37歳で良好胚盤胞を3個以上有する女性において、PGT-A群の累積出生率が通常の体外受精群を上回る結果は得られませんでした。

一方で、高年齢の患者様や特定の治療歴を持つ患者様については、PGT-Aが有益となる可能性が研究されています。

PGT-Aを実施すべきかどうかは、年齢だけでなく、採卵成績や胚盤胞数、過去の流産歴などを考慮して個別に判断することが重要です。

💰 PGT-Aの費用と保険適用について

PGT-Aは2025年9月の日本産科婦人科学会の公表時点で、公的医療保険の対象外とされていました。

保険診療との併用には制限があり、PGT-Aを実施する場合、採卵から胚移植までの一連の治療が自費診療となる場合があります。

費用や診療上の取り扱い、自治体の助成制度は変更される可能性があるため、治療開始前に最新情報を確認する必要があります。

検査費用だけでなく、採卵・培養・胚凍結・胚移植などの費用も含めて確認することが大切です。

❓ PGT-Aについてよくある質問(FAQ)

Q1. PGT-Aとは何ですか?

PGT-Aとは、体外受精で得られた胚の染色体数の過不足を、子宮に移植する前に調べる検査です。着床や妊娠継続が期待できる胚を選択するための情報として利用されます。

Q2. PGT-Aをすると流産しなくなりますか?

すべての流産を防げるわけではありません。染色体異数性による流産を減らせる可能性がありますが、流産には染色体以外の原因もあります。

Q3. 35歳以上ならPGT-Aを受けられますか?

2025年9月の学会細則改定では、女性が35歳以上の不妊症のご夫婦が対象に追加されました。ただし、年齢のみで実施が決まるわけではなく、医学的適応や施設の実施条件を確認する必要があります。

Q4. PGT-Aをすると妊娠率は上がりますか?

染色体数が正常範囲と判定された胚を選択することで、移植1回あたりの成績を改善できる可能性があります。一方、採卵1回あたりの累積出生率がすべての患者様で向上するとは証明されていません。

Q5. PGT-Aで正常と判定されれば、赤ちゃんに異常はありませんか?

いいえ。PGT-Aは主として染色体の数的異常を評価する検査であり、すべての染色体異常や遺伝子疾患、先天性疾患を否定するものではありません。

Q6. PGT-Aは保険適用ですか?

2025年9月時点では保険適用外です。実施時期の制度や自治体の助成制度によって費用負担が変わる可能性があるため、最新の取り扱いをご確認ください。

Q7. 胚盤胞が1個しかなくてもPGT-Aを行うべきですか?

必ずしもそうではありません。検査による追加情報が得られる一方、胚への影響や判定結果によって移植の機会を失う可能性もあります。胚数が少ない場合には特に慎重な判断が必要です。

🌸 まとめ|PGT-Aは患者様ごとにメリットを判断する検査です

PGT-Aは、体外受精で得られた胚の染色体数を移植前に評価することで、移植胚の選択に役立てる検査です。

反復する胚移植不成功、反復流産、女性の高年齢など、一定の条件を満たす患者様にとって、治療選択肢の一つとなります。

一方で、PGT-Aを実施することが、必ずしも妊娠率や累積出生率の向上につながるわけではありません。

大切なのは、PGT-Aを行うこと自体ではなく、患者様一人ひとりにとって妊娠・出産につながる可能性が最も高い治療方針を検討することです。

佐久平エンゼルクリニック生殖医療科では、不妊治療に関するさまざまなお悩みについてご相談いただけます。

PGT-Aを含めた胚の評価や治療選択に関心のある方は、お気軽にご相談ください。


佐久平エンゼルクリニック 生殖医療科

長野県佐久市・佐久平エリアの不妊治療相談

記事監修:政井哲兵(婦人科・生殖医療科 医師)

最終更新:2026年10月

※PGT-Aの院内実施可否、検査対象、費用および最新の制度については、診察時にご確認ください。

 

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