最近話題の着床の窓について(Window of Implantation)|クリニックブログ
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2020.09.13
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最近話題の着床の窓について(Window of Implantation)
最近話題の着床の窓について(Window of Implantation)
着床については現在の科学をもってしてもなおブラックボックスと言われており、未知の部分が多いとされています。その中で、最近注目されているいわゆる”着床の窓”(Window of Implantation)についての話題です。
卵子と精子が受精をすると受精卵が形成され、受精卵は分割を繰り返しながらやがて胚盤胞と呼ばれる状態に育っていきます。これは卵ごとに個人差があるとされていますが、およそ5日〜6日間です。(Y染色体を持つ受精卵、つまり将来男児になる卵は女児になる卵より若干発育が早いという意見もあります。代謝スピードや細胞分裂の速さの問題なのかもしれません。男の子は卵の段階から活発なのかも??)
一方、子宮側(子宮内膜)は、排卵日を境に胚の受容期に向かって変化し、受精卵の着床により脱落膜化という変化をすると言われています。近年の研究では、子宮内膜が胚の着床選択性に関与しているとも言われており、流産に至る可能性の高い染色体異常胚は子宮内膜によって自動的に淘汰される(つまり妊娠しない卵は内膜に選ばれない)という機能もあることが分かってきました。
着床の窓とは、子宮内膜が胚を受容できる(着床できる)ある一定の期間を指します。この着床の窓がオープンになる(つまり子宮内膜に胚が着床できる)のは排卵日(推定排卵日 体外受精周期の場合は黄体ホルモンの開始日)を境に5〜6日程度と言われていますが、およそ40%程の方ではこの着床の窓が通常よりも半日〜1日程度ずれる方もいるとも言われています。実はこの半日〜1日という時間のズレは非常に大きく、仮に染色体異常のない良好胚であっても着床できないこともあります。また、着床の窓が微妙にズレた周期で仮に受精卵を戻した場合に化学流産が起こるケースもあると言われています。(中途半端に着床した。俗にかすったという現象)これは、着床の窓がズレた状態での着床は、以後の受精卵と子宮内膜間の様々な遺伝子発現による妊娠の進行に支障が出るためではないか?という意見もあります。
最近話題のERA検査では、着床の窓がオープンになる時期がいつになるのかを正確に調べます。通常では黄体ホルモンの開始から120時間後前後でReceptive(受容状態)となる方が多いですが、各人により96時間(−24時間)から144時間(+24時間)ぐらいの範囲でずれることがあります。およそ40%の女性では着床の窓が通常の方よりズレているという報告があります。
着床の窓については当院でも積極的にERA検査で確認するようにしています。妊娠の可能性のある貴重な受精卵を無駄にしないための方策です。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=iTG8__fjjho]
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