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これからの新しい不妊症対策

これからの新しい不妊症対策=AGEs(終末糖化産物)を体内に蓄積させない食生活を

AGEs(終末糖化産物)が細胞の老化に関係する

AGEs(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)とは、タンパク質の糖化反応(メイラード反応)によって作られる生成物の総称であり、タンパク質と糖が加熱されてできた物質のことである。これらは強い毒性を持ち、細胞の老化(細胞の変性)を進める原因物質とされている。老化というとすぐに思い浮かぶのは肌のシミ・シワなどだろうが、AGEsが血管に蓄積すると動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞を起こし、腎臓の糸球体を障害すれば慢性腎不全、脳の神経細胞に蓄積すればアルツハイマー型認知症、骨に蓄積すると骨粗しょう症、目に蓄積すると白内障、など、AGEsは美容だけでなく、全身の健康に影響を及ぼしていると言える。(糖尿病の合併症として知られている糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害は血液中の糖と体の組織を作るタンパク質がメイラード反応によって変性を起こした結果生じるものである。)

食品におけるメイラード反応利用の例

日頃我々が食べている食品の中には、実はこのメイラード反応(糖化反応)を利用したものが多く存在し、食品の風味を豊かにしたりすることにも役立っている。例えば、肉を焼くと褐色に変化する(香ばしく風味よくなる)、玉ねぎを炒めると茶色く香ばしくなる、デミグラスソースの褐色とコク、コーヒー豆の焙煎、黒ビールやチョコレートの色素形成、味噌、醤油の色素形成、パン(トースト)やご飯のお焦げ・・・などがこれに相当する。このように、日常の食品にはメイラード反応を利用したものが多数存在しており、食品の風味をよくしたりすることにも利用されている。

老化とは体内で起こるメイラード反応(糖化反応)である。

メイラード反応(糖化)は、食品の風味を豊かにするなど有用な側面はあるが、この変化が人体内で起こることはもちろん好ましいことでない。人体を構成するコラーゲン(皮膚や骨を構成するタンパク質)の糖化によって皮膚の張りや弾力がなくなり、シミ・シワが増え、骨がもろくなり(骨粗鬆症)、糖化産物が水晶体に蓄積すると白内障になる。脳内に蓄積するとアルツハイマー病になる。老化現象と言われる多くの変化が体内でのメイラード反応(糖化)の進行と関係しているとされている。

AGEsと不妊症の関係

近年、生殖医療の分野でも、このAGEs(終末糖化産物)が不妊症の原因になるとして注目されている。(以下、AGEsと不妊症をテーマにしたサイトへのリンク)

糖化ストレスと不妊症

老化促進物質AGEをターゲットにした不妊治療

終末糖化産物「AGE」の蓄積が、不妊治療の成績に影響することが明らかに

コントロール不良の糖尿病患者やインスリン抵抗性と関連のあるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)患者が妊娠しにくい理由は、AGEsの蓄積とも関係していると考えられる。一般女性と比べてPCOS女性の卵巣では、卵巣細胞や血管内皮細胞でAGEsが高発現が認められる。また、空腹時血糖が正常で食後血糖値が高いPCOS女性では、健康な女性と比べて血清AGEs値が高い。不妊症の病因には2型糖尿病と共通した点がある。インスリン抵抗性による卵胞での相対的なインスリン不足が、卵や卵胞での酸化ストレスを増加させ、あるいはインスリン分泌能の低下から食後高血糖を引き起こし、組織中のAGEs産生の増加を起こす。その結果、卵胞およびその微小血管系の細胞組織において、血管内皮細胞障害、血栓形成傾向、炎症誘発が加速され、卵や卵胞の発育不良と卵胞閉鎖の促進に至ると考えられている。しかし不妊症は卵胞や子宮内膜でのインスリン作用不全のみでも起こりうるため、高血糖や糖尿病検査値異常などの全身的徴候を必ずしも伴わない場合もある (つまり、インスリン抵抗性を伴う不妊症患者で、糖尿病と言えるほどの高血糖や検査値異常は呈さないというケースがあり得る。実際にこういう方はよくいる)。糖化ストレスの抑制は生殖医療において卵胞の発育、胚発育、妊娠継続に有効に作用する可能性があり、AGEsの蓄積改善(そのためには何と言っても生活習慣の改善が大切)はこれからの新しい不妊症対策として有効ではないかと考えられる。

 

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