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タイムラプスインキュベーター Embryo Scope

良好胚形成のカギ=ストレスを少なく、子宮に近く

胚の培養は、子宮内の環境になるべく近づけるため、温度、湿度、CO2濃度、O2濃度が一定に保たれたインキュベーターの中で行います。そして可能な限り胚にとってストレスの少ない最適な環境を維持することが良好胚成長へのカギとなります。通常患者様からお預かりした胚は、発育状況を培養士がチェックし、胚の形態的な評価(分割の状態の確認、グレードの評価)を行います。しかし観察のたびにフタの開閉を行うことでインキュベーター内の環境変化を生じ、これが胚の発育にとっては大きなストレスになるとされてきました。そこで当院ではこれまで、極力観察の回数を少なくして外気への曝露を減らし、胚へのストレスをなるべく減らすことを目標にしてきました。(当院では通常培養法ではこれまで、媒精翌日の前核確認、媒精2日目の分割確認、媒精5日目の胚盤胞確認の3ポイント確認としておりました)。しかしこの方法では観察と観察の間に胚にどのような変化が起こっているのか?までは分かりませんでした。

タイムラプスインキュベーターとは?

タイムラプスインキュベーターとは胚の発育過程を連続的に動画として撮影することができる培養システムです。タイムラプスインキュベーターEmbryo scopeはカメラが内蔵されており、観察のために胚を取り出す必要がなく、環境変化に伴う胚へのストレスを減らしながらかつ、受精~胚盤胞に至る過程を動画として連続撮影する事ができ、胚に起こっている変化を詳細に捉える事が可能となっています。具体的には、前核が消える時間、胚の分割が均等に起こっているか、胚の発育スピードが正常か、フラグメンテーション(胚の発育過程で生じる細胞質が断片化したもの)がいつ発生したのかなどを細かく知ることが出来ます。これらの情報を分析することで妊娠の可能性の高い胚を選択し、染色体異常の可能性が高い胚を除外するなど、移植に適した良好胚を絞り込む事ができ、妊娠への近道になる可能性があります。

当院での取り組み

当院では、Embryo Scopeを複数採卵症例での凍結や移植に用いる胚の選択ツールとして、また、高齢患者様の胚に対するストレスの少ない培養環境の実現、などの目的で活用しています。タイムラプスシステムはこれからの生殖医療にとって欠かすことのできない技術になってきています。当院では引き続き症例数を増やし、これまでの従来の培養システムとの違いや優位性についての検討を行っていきたいと考えています。

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