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知っておきたいAMHに関する話題

AMHとは?

AMH(Anti-Müllerian hormone =抗ミュラー管ホルモン)とは、発育途中の卵胞である前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。AMHの数値は前胞状卵胞の数を反映すると考えられており(AMHが高い=前胞状卵胞が多い)、その値は卵巣内にどのぐらいの卵が残っているか、つまり卵巣の予備能がどれほどかを反映する指標と言われています。卵巣予備能とは、卵巣の中に残っている卵子の数の目安のことです。AMHは卵子の在庫(ストック)の量の目安となりますが、ストックされている卵の質がいいのかどうか?(妊娠できるかどうかは卵子の質によって決まりますので、つまり妊娠できるかどうか?ということになります)は全く別と言われており、AMHの値は妊娠できるかどうかの指標にはならないと言われています。卵子の質は年齢に比例して悪化すると言われており(歳を取ると卵子の質が悪くなる、これをいわゆる卵子の老化と言います)、同じAMHの値であっても、年齢が高い方では一般的に卵子の質も悪くなってしまいます。

つまり、以下のような図式が成り立ちます(これは不妊治療の現場でよく言われていることです)

AMHが低くても(卵子の在庫が少なくても)、質のいい卵子があれば妊娠できますよ。

AMHが高くても(卵子の在庫はたくさんあっても)、卵子の質が悪ければ妊娠しにくいですよ。

これは言っていること自体は間違いではないのですが、しかし、その解釈の仕方には注意が必要です。

卵子のストック(在庫)が少なくても、質のいい卵子があれば妊娠すること自体は不可能ではないです。ただ、卵子の数が少ないということは、残された時間はそう多くはない(つまり不妊治療にかけられる時間はそんなに残っていない)ので治療を急いだほうがいいですよ

・・・ここまで考えることが出来ればほぼ完璧な解釈と言えます。
AMH低値と早期閉経の関係

AMHが低いと閉経が早まるという報告があります。

Anti-Müllerian hormone levels and incidence of early natural menopause in a prospective study

こちらの論文は2018年のHuman Reproductionに掲載されたものです。Human Reproduction, Volume 33, Issue 6, 1 June 2018, Pages 1175–1182,

327人の早期自然閉経(45歳未満の自然閉経を早期閉経と定義)の女性と、491人の45歳以上で閉経した女性を対象とし、閉経の12年前に採取した血液サンプルでAMHを測定、BMI、喫煙歴、ピルの使用歴、その他の因子をマッチングさせて調査を実施しました。その結果、AMHが0.1ng/ml低下すると、45歳未満の早期閉経のリスクが14%上昇することが分かり、また、AMH1.5ng/ml、1.0ng/ml、0.5ng/mlのそれぞれの値について、AMH2.0ng/mlと比較した際の早期閉経リスクのオッズ非はそれぞれ2.6、7.5、23になることが分かったとしています。(P < 0.001).  つまり、閉経前の時点での AMH低値は、将来的な早期閉経のリスクと相関があることが示されたとしています。

自身のAMHを知ってどう行動するか?

このように閉経前のAMHが将来的な早期閉経の予測因子となり得ることが分かりました。将来の家族計画や子供を何人もうけたいのか?などを考える際に、自身の現在のAMHが参考になると言えます。AMHが高くても(=卵子のストックがたくさんある)、AMHは卵子の質は反映しないので、年齢が高くなると妊孕性は低下し妊娠しにくくなる訳です(たくさんあるから安心という訳ではありません)が、逆に特に若い人でもAMHが低い人は、将来の閉経が予想よりも早く来る可能性を考えておかなければならないということになります。もちろんAMHは卵子の質とは関係しないので、若い方は仮にAMHが少なくても妊娠するチャンスは十分にありますが、AMHが低い=卵子のストックが少ない=妊活、不妊治療にかけられる残された時間が少ない ということなので、将来の家族計画に向けてぜひ早めに行動する必要があるということになります。後で知って後悔するということがないよう、この機会にぜひ多くの方に(特に結婚や妊娠はまだまだ先の話と考えていらっしゃる若い方に)知っておいていただきたい内容だと思います。

 

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